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2018.06.21
全国付添人経験交流集会に参加してきました  岡安知巳

平成30年5月19日,富山市で開催された全国付添人経験交流集会に参加してきました。
少年事件において少年の権利を守り,代弁する者を付添人といいますが,私はしばらく付添人になっていないので,  少年事件の感覚を忘れないためこの交流集会に参加することにしたのです。

まず,友田明美先生(福井大学子どものこころの発達研究センター教授)による「子ども虐待防止最前線と      弁護士の役割〜マルトリートメントによる脳への影響と回復へのアプローチ」という講演会がありました。
先生によると,乳幼児期に家族の愛情に基づく情緒的な絆が形成され,安心感や信頼感の中で興味・関心が広がり,認知や情緒が発達することが脳科学研究の進展により明らかになり,そのような絆が形成されずに,親によるマルトリートメント(不適切な関わり。特に子どもに聞こえる状況で夫婦が口喧嘩することが最悪)がなされると,子どもの脳に悪い影響があり,思春期に非行に至る可能性が高まるとのことでした(詳しくは,先生著『子どもの脳を傷つける親たち』NHK出版2017)。
少年に限らず,今まで弁護人となった被疑者,被告人の多くが,子どもの頃に両親の仲が悪かったり,離婚したりしており,友田先生の話が胸にストンと落ちました。

続いての報告会では,大阪の弁護士2名から,2度も家裁から逆走(検察官送致)されたが最終的に家裁に戻った少年事件について報告がありました。
この事件は,家裁→裁判員裁判→家裁→裁判員裁判→家裁となった稀な事件でしたが,上記弁護士は,法務省の職員として少年の更生プログラムを作成した経験があり,2回目の裁判員裁判において,少年刑務所と少年院の処遇の違いを意見書にし,かつ自ら証言したことが奏功して,家裁に戻され,最終的に少年院送致となったとのことでした。

少年に限らず,刑務所で規律正しい生活をすれば再犯を防げるとは限りませんので,更生のためにどのような処遇をしていくかが課題となっています。特に,薬物事件,窃盗癖のようなアディクション(依存症,嗜癖)が問題となる場合には,矯正よりも治療が優先されるような体制を整える必要があると感じています。

翌20日は,毎年9月1日から3日に「おわら風の盆」の行われる越中八尾(やつお)に足を延ばしました。哀調のある胡弓の調べや優雅な踊りに魅せられて,ここ2年,風の盆を見に八尾を訪れているのですが,知人に蕎麦屋「月のおと」に連れて行っていただき,美味しい蕎麦とよもぎのシフォンケーキを味わいました。


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